
この記事では事故物件の売却方法や売却相場について詳しく解説していきます。
- 事故物件とは
- 事故物件の告知義務とは
- 事故物件を売却する方法
- 事故物件を買取業者に依頼するメリット
目次
事故物件とは?該当するケースを紹介
事故物件とは、建物内で自殺や事故死などが発生した不動産を指します。事故物件は売買時に告知義務が課される物件で、取引価格が一般的な相場よりも下がりやすいです。
- 事故物件に該当するケース
- 事故物件に該当しないケース
具体的な事例を見ていきましょう。
事故物件に該当するケース
事故物件に該当するケースは以下の通りです。
該当するケース | 売却価格の下落率 |
---|---|
他殺・殺人事件があった物件 | 3〜5割減 |
自殺があった物件 | 2〜3割減 |
火災による死亡があった物件 | 2〜3割減 |
遺体放置により特殊清掃が必要な物件 | 1〜2割減 |
集合住宅の共用部分での事案 | 1〜2割減 |
事件性や社会への影響が大きい事案も事故物件に含まれ、市場価格よりも売却価格が下がる傾向にあります。
社会的影響が特に大きな事案の場合は5割以上価格が下がることも少なくありません。
事故物件に該当しないケース
事故物件に該当しないケースは主に以下の通りです。
該当しないケース | 備考 |
---|---|
病死・老衰による自然死 | 通常の売却が可能 |
階段からの転落などの不慮の事故死 | 告知不要 |
入浴中の事故死 | 告知不要 |
マンションの非共用部分での死亡 | 自室以外は告知不要 |
賃貸物件で3年経過した事案 | 通常の賃貸が可能 |
一般的な事故物件の不安要素は少なく、通常の不動産として売却や賃貸が可能です。ただし、買主から事案の有無を問われた場合は、正直に回答する必要があります。
事故物件の売却価格相場
事故物件の売却価格は、通常の不動産価格から1〜5割ほど下落するのが一般的です。
事故物件の種類 | 売却価格の下落率 |
---|---|
孤独死・病死があった物件 | 1〜2割減 |
自殺があった物件 | 2〜3割減 |
殺人事件があった物件 | 3〜5割減 |
ただし、事故物件の売却相場は事故の内容だけでなく、立地や築年数、物件のコンディションなども加味される点を考慮が必要でしょう。
また、都心部の人気エリアや駅近物件など、条件が良い場合は価格の下落率が緩やかになることも多いです。
事故物件の告知義務は必要?告知方法やリスクを紹介
事故物件の売却では、物件について買主に告知する義務があります。売主が告知義務を怠ると契約不適合責任が問われ、損害賠償請求や契約解除のリスクが発生します。
- 物件購入希望者に告知する方法
- 事故物件の告知をしない場合のリスク
具体的な方法とリスクを解説します。
物件購入希望者に告知する方法
事故物件の売却時に物件購入希望者への告知方法として、重要事項説明書へ記載、口頭での説明も必要となります。
売買契約締結前の重要事項説明の際に行うのが一般的ですが、事前に内見時点で告知することもできるでしょう。
告知する際は以下の項目を明確にしましょう。
- 案件発生の時期
- 案件発生の場所
- 死因の詳細
- 特殊清掃の有無
事故物件の告知をしない場合のリスク
事故物件の売却における告知をしない場合、告知義務違反として以下のようなリスクが発生します。
- 契約解除の可能性
- 損害賠償請求
- 金銭的な賠償責任
- 買主との信頼関係の破綻
実際に50年以上前の事故物件でも告知義務違反で賠償責任を負った判例も存在するため、売主は必ず正しい告知を行う必要があります。
農山村地帯における本件事件は、約50年経過したとしても近隣住民の記憶に残っていると考えられ、買主が居住し近隣住民と付き合いを続けていくことを思えば、通常保有すべき性質を欠いている隠れたる瑕疵であるとし、売主らには当該瑕疵を告げなかった説明義務違反があることから、買主の請求につき、売主に対しては信頼利益の損害として売買代金を、仲介業者に対しては仲介報酬等を認めた。
引用:mlit.go.jp
告知義務違反は深刻な金銭的負担につながることから、売却時は正直に事実を伝えることが最善です。
事故物件を売却する方法
事故物件の売却方法は主に2つあり、それぞれ特徴が異なります。売主の状況や希望する売却時期に応じて最適な方法を選択することが重要です。
- 不動産会社を仲介して売却する
- 不動産会社に直接売却する
それぞれの売却方法の特徴を詳しく見ていきましょう。
不動産会社を仲介して売却する
事故物件を売却する方法として、不動産会社を仲介して売却する方法があります。仲介売却では、不動産会社が物件情報を広く公開し、一般の買主からの購入希望者を募って契約成立を目指していく流れとなります。
一般的な売却期間は3〜6ヶ月程度で、条件の良い物件であれば通常より高値での売却も期待できるでしょう。
不動産会社に直接売却する
事故物件を売却する方法の一つとして、不動産会社による直接買取が挙げられます。買取業者に直接売却すると、買主を探す必要がないため早期売却が実現可能でしょう。
買取価格は仲介よりも低くなる傾向にありますが、物件の状態に関わらず1週間から1ヶ月程度で売却できるメリットがあります。
事故物件を買取業者に依頼するメリット
事故物件の売却を買取業者に依頼すると、以下のようなメリットがあります。
- メリット①平均1ヶ月程度で売却できる
- メリット②売主負担の売却経費がかからない
- メリット③契約不適合責任が免責される
- メリット④リフォームや建て替え不要で売却できる
- メリット⑤すぐに売却して現金化できる
各メリットの詳細を解説していきます。
メリット①平均1ヶ月程度で売却できる
事故物件を買取業者に依頼するメリットの1つ目は、平均1ヶ月程度で売却できる点です。
買取業者へ直接売却する場合は、買主を探す期間が不要なため査定から売買契約までがスピーディーに進みます。
メリット②売主負担の売却経費がかからない
事故物件を買取業者に依頼するメリットの中で重要なのが、売主負担の売却経費がかからない点です。
買取業者は物件を再販することを前提に、清掃費用やリフォーム費用を買取価格に織り込んで査定を行います。
メリット③契約不適合責任が免責される
事故物件を買取業者に依頼するメリットとして、契約不適合責任が免責される点も挙げられます。
買取業者は不動産取引のプロとして建物の瑕疵を把握したうえで買い取るため、売却後のトラブルを心配する必要はありません。
メリット④リフォームや建て替え不要で売却できる
事故物件を買取業者に依頼するメリットには、リフォームや建て替えが不要な点も含まれます。
買取業者は現状での買取を前提としているため、売主側で費用をかける必要性はありません。
メリット⑤すぐに売却して現金化できる
事故物件を買取業者に依頼するメリットの最後は、すぐに売却して現金化できる点です。買取業者との価格交渉が成立すれば、最短1週間程度で売買契約の締結が可能となります。
仲介売却と異なり買主を探す必要がないため、事故物件でも迅速な資金化を実現できるでしょう。
事故物件を高く売却するコツ
事故物件は、以下のようなコツを知ることで売却価格を少しでも高くすることが可能です。
- 売却するコツ①清掃や修繕を行う
- 売却するコツ②告知義務を怠らない
- 売却するコツ③不動産会社が対応可能か確認しておく
- 売却するコツ④期間を空けて売却する
- 売却するコツ⑤更地にして再利用する
- 売却するコツ⑥弁護士に相談する
- 売却するコツ⑦事故物件の買取実績がある業者へ売却する
- 売却するコツ⑧一括査定を申し込む
各コツの実践方法を詳しく説明します。
売却するコツ①清掃や修繕を行う
事故物件を高く売却するコツ1つ目は、清掃や修繕を行うことです。事故物件の売却では、床や壁の汚れ、臭いなどを入念に除去することで買主の心理的な抵抗を和らげられます。
汚れや臭いが深刻な場合は特殊清掃を依頼し、綺麗な状態にすることで売却価格の下落を最小限に抑えられるでしょう。
売却するコツ②告知義務を怠らない
事故物件を高く売却するコツとして、告知義務を正しく果たすことが挙げられます。事故物件の売却で告知義務を怠ると、後からトラブルになり損害賠償を請求される可能性があります。
契約前に事故の発生時期や場所、特殊清掃の有無などを書面で記録しておくと安心です。
売却するコツ③不動産会社が対応可能か確認しておく
事故物件を高く売却するコツにおいて、不動産会社の対応可能範囲を確認することは重要です。
事故物件は一般の不動産会社が取り扱いを避けるケースも多く見られます。事前に複数の不動産会社へ事故物件の取り扱い実績を確認し、経験豊富な会社を選ぶと良いでしょう。
売却するコツ④期間を空けて売却する
事故物件を高く売却するコツの中で、期間を空けて売却することも大切です。事故や事件の発生直後は、マイナスなイメージが強く残っているため売却が難しくなりがちです。
半年から1年程度の期間を空けることで、買主の心理的な抵抗が和らぐ可能性があるでしょう。
売却するコツ⑤更地にして再利用する
事故物件を高く売却するコツにおいて、更地にして再利用する選択肢も有効です。建物の状態が良くない場合、解体して更地での売却を検討すると買主の選択肢が広がります。
ただし、更地にしても告知義務は残り、解体費用も発生することを念頭に置く必要があるでしょう。
売却するコツ⑥弁護士に相談する
事故物件を高く売却するコツとして、弁護士への相談も重要な選択肢です。事故物件の売却では様々な法的リスクが伴うため、専門家のアドバイスが有効です。
告知義務の範囲や契約書の作成など、法的な観点からの助言を得られるでしょう。
売却するコツ⑦事故物件の買取実績がある業者へ売却する
事故物件を高く売却するコツの一環として、買取実績が豊富な業者への売却が挙げられます。
事故物件専門の買取業者は独自の再販ルートを持っているため、一般の不動産会社より高値での買取が期待できます。
売却するコツ⑧一括査定を申し込む
事故物件を高く売却するコツにおいて、一括査定の利用は効果的な方法です。複数の不動産会社から査定額を取得することで、適正な売却価格の目安がわかります。
事故物件に強い不動産会社を見つけられる可能性も高くなるでしょう。
事故物件の売却相場を調べる方法
事故物件の売却は、以下のような複数の方法を組み合わせることで、より正確な相場観をつかむことができます。
- 不動産ポータルサイトで物件の相場を調べる
- 不動産情報ライブラリで調べる
- 不動産鑑定士に物件の鑑定を依頼する
- 不動産取引情報提供サイトで調べる
- 専門の買取業者に査定を依頼する
各調査方法の特徴を解説します。
不動産ポータルサイトで物件の相場を調べる
事故物件の売却相場を調べる方法1つ目は、不動産ポータルサイトで物件の相場を調べることです。
SUUMOやLIFULL HOME'S、アットホームなどの不動産ポータルサイトで、所在地や間取り、最寄り駅など類似した物件の相場から1〜5割程度を割り引いた金額が事故物件の相場となります。
不動産情報ライブラリで調べる
事故物件の売却相場を調べる方法として、不動産情報ライブラリで調べることが挙げられます。
不動産ライブラリは、国土交通省が2024年4月1日に公開した不動産情報サイトです。
地域を入力して検索をかけると、「不動産取引価格情報」「成約価格情報」から過去の取引事例を閲覧でき、土地価格や周辺施設など類似物件の詳細情報まで把握可能です。
不動産鑑定士に物件の鑑定を依頼する
事故物件の売却相場を不動産鑑定士に依頼する方法では、専門家による正確な査定額を知ることができます。
国家資格である不動産鑑定士があらゆる鑑定評価手法で評価額を算出するため、鑑定結果の精度は高くなります。
不動産取引情報提供サイトで調べる
事故物件の売却相場を不動産取引情報提供サイトで調べる方法は、不動産流通機構が運営する「レインズ・マーケット・インフォメーション」を使用します。
成約価格に基づいた取引情報を閲覧でき、ポータルサイトとは異なり実際の取引価格を知ることができます。
専門の買取業者に査定を依頼する
事故物件の売却相場を専門の買取業者に査定を依頼する方法は、豊富な買取実績から算出された精度の高い査定額を確認できます。
買取の中でも事故物件に強い専門業者であれば、豊富な買取実績と活用ノウハウから算出するため、より正確な査定額を把握することが可能です。
事故物件を売却する流れ
事故物件の売却は、選択する売却方法によって手順が異なります。
- 事故物件を買取で売却する場合
- 事故物件を仲介で売却する場合
売却方法ごとの具体的な流れを見ていきましょう。
事故物件を買取で売却する場合
事故物件を売却する流れにおいて、買取で売却する場合は以下の4つのステップで進みます。
- 事故物件専門の買取業者へ査定を依頼
- 提示された査定額の確認と売買契約の締結
- 決済日の設定と所有権移転登記の準備
- 物件の引き渡しと売却代金の受け取り
契約から決済までは通常1週間から1ヶ月程度と短期間で終わるため、早期売却を希望する売主に適した方法です。
事故物件を仲介で売却する場合
事故物件を売却する流れにおいて、仲介での売却は以下の流れで進みます。
- 不動産会社への査定依頼
- 媒介契約の締結
- 売却活動による買主の募集
- 買主との売買契約締結
- 決済・引渡し手続き
売却完了までに半年から1年以上かかることも珍しくありませんが、買取よりも高値での売却が期待できる利点があるため、急いで売る必要がない売主向きの方法です。
事故物件の売却でかかる費用
事故物件の売却は、通常の不動産取引と同様に以下のような費用が発生します。
- 印紙税
- 譲渡所得税
費用の詳細と具体的な金額について解説します。
印紙税
事故物件の売却でかかる費用の1つ目は印紙税です。印紙税は売買契約書作成時に必要で、売却金額によって異なります。
3,000万円の事故物件を売却する際は2万円、軽減措置が適用されれば1万円の印紙税が必要になるでしょう。
譲渡所得税
事故物件の売却でかかる費用の譲渡所得税は、売却によって利益が発生した場合に課税されます。
譲渡所得税は所有期間によって税率が変わります。
所有期間 | 譲渡所得税率 |
---|---|
5年以下 | 30% |
5年超 | 15% |
たとえば取得費3,000万円の事故物件を3,500万円で売却し、譲渡費用300万円がかかった場合、譲渡所得は200万円となり、所有期間5年以下なら60万円の譲渡所得税が発生します。
事故物件の売却についてよくある質問
事故物件の売却に関して、多くの売主が共通して抱く疑問があります。売却を検討する際は、よくある質問を確認しておくと安心です。
事故物件であることを隠してもバレる?
事故物件であることを隠して売却しても、近隣住民から情報が漏れ出す可能性が高いです。
売却後に事実が判明すると、買主から損害賠償請求や契約解除を求められるリスクがあります。
事故物件の告知には時効はある?
事故物件の売却において、告知義務に時効はありません。賃貸契約では3年程度で告知義務が消滅する場合もありますが、売買契約では事故から何年経過しても告知が必要です。
事故物件を素早く売却する方法は?
事故物件の売却を早期に実現するなら、事故物件専門の買取業者への依頼がおすすめです。
買取業者なら最短1週間程度での売却も可能で、物件の現状のままで取引できます。